引越しをした話
引っ越しをした。
そこは新婚用の1LDKで、2人で住むにはとても住みやすいお家。
物を移動させるときに、たくさんいろんなものを捨てた。指輪とか、空の香水の瓶とか
先輩にピアスをあけてもらったときのピアッサーも捨てた
この道具は、先輩じゃない。
家の中が空っぽになった時、
わたしはいつもと変わらないなと思った
あそこはわたしの家じゃなかったし、
ただ住みこんでる箱だった
とにかくお姉ちゃんの家だった
ものがあってもなくても、あまり変わらなかった お姉ちゃんは寂しかったのかもしれないけど、わたしはいつもと同じようにあの家をあとにした。二度と帰ってこないだけで
新しいわたしの部屋は、広くてきれいだった
フローリングが柔らかくて気になったけど、
それくらいで。
わたしはすぐに、ここに先輩が来ることを想像した。できなかった。
先輩はきっとここには来ない。
引っ越しをした日に、あねちゃんとご飯を食べたけど、あれ以来2人で作って食べてない