きみのそういう部分を見せてくれ

そういうやつです、心の細かいやつ

「空を目指して海へ飛び込め」黒い夜では女神は死神

 

 

とにかく彼はすごく悲しんでいた

 

 もうどうにもできない過去の自分を

きっとずっと悔やんで泣いていた

 

もうどうにもならない悲しみが

Kinki Kidsの歌が頭の中を過ぎて行った

わたしは自分のベッドの上にいて、

そこには彼も来たことがあるし、

先輩も来たことがある。

 

わかるよ、わかるの

自分しかいない夜のベッドの上で泣くことの

悲しみは、とても大きくて深くて、重くて

でもすこし甘いのだ

 

失恋、恋を失う悲しみは、何故あるのかというと 

自分が本当に恋をしていたからだ

自分の気持ちが本物だった証に、ただ悲しいだけの夜がある

だからすこし甘い。

相手のあたたかさと、皮膚の味を思い出す

 

彼もきっと思い出していたと思う

 

本当に恋をして泣いている男の子は、彼には悪いけどとても面白かった。見たことがなかったから、とても興味のある生き物だった。

好きな人を思って泣く夜を、男の子も持っているんだなって 最初は彼の悲しみを永遠と聞くのはとてもダルくて、どうでも良くて、早く終わって欲しかった

 

だけど、彼の話を聞けば聞くほど、

それは私だった

それは冬の私だった

1月の私

 

1月にずっと泣いているだけの私だった

彼は目の前にいないのに、ただ電話しているだけなのに、目の前に彼がいるみたいだった

 

目の前で、彼と同じ目線で、目を合わせて話しているみたいだった。

 

 

深夜、

二度自分とキスをした女と

電話をしながら

泣いている

 

 

それだけこう、述べると

とても惨めなシーンだけど

 

でも、違うの

今の彼にはこの夜が必要で、

そして相手はこの女じゃなくても良いんだ

 

ただ、悲しみに完全に耳と口を塞がれてしまう前に 誰かの声を聞いて、口を開いて話をしないと間も無く死んでしまう

 

そういう悲しみだ

信じられないくらい悲しくて、自分では処理できない規模の苦しみや遣る瀬無さが背中を押す

 

「海に飛び込め」

 

自殺する気なんて、本当なくて、

これからも生きていきたいのに

 

ずっと、ずっとこの声が背中を押して

負けそうになる

 

命の危機を本気で感じる

 

 

相手だったあなた、あなたたちがこの文章を読むかもしれないから、

 

振った人間は悪くないのだ

とっても悪くない。

 

嘘をつかなかっただけだから

彼や、わたし、この世の振られた人間は、

本当のことを告げてもらっただけなの

 

だから正直に素直に気持ちを告げた点では、

好きだと言うのと変わらない。

 

 

だけど、人を傷つけた

それは絶対に変えられない

 

真実を告げて嘘をつかなかった代わりに

人を傷つけたんだ

 

だけど、やっぱり大丈夫。

傷は治る

 

傷をつけてでも、線を引かないといけない時が来る

絶対に、いつかは死ぬのだから

 

限られた時間なのに、愛すべきでない人間とは一緒にいられない。

 

愛する人間と一緒にいるのではなく、

愛すべき人間と一緒に居ないといけないと思う

 

先輩は、愛する愛すべき彼女を当たり前だけど選んだし、そして私は微塵も愛して、大切にされて居なかった

 

だけどね、彼は、愛する愛すべきでない相手で、とても大切にされていたと思うよ

 

だけど、その2人が一緒にいることでは、

未来に何も生まれなかった