きみのそういう部分を見せてくれ

そういうやつです、心の細かいやつ

眠っていた私がもうすぐ忘れる夢のお話 アリス、それは夢よ。

 

 

ああここに、ずっとずっとしつこいほどに書き続けていた恋だけど、

ある日突然、跡形もなく消えた。消えてくれた。

醤油入れをずっと置いておくと底の接地面に丸くあとが残るけれど、あれもない。

 

ない、ない。

 

 

憎しみと恋情でできた悪魔の皮が、するりと脱げて、私は起きた。

 

ずっとずっと、眠っていた。ずっとずっと ずっとずっと

 

あんなに苦しんでいたのに嘘みたいだ でも嘘じゃないのだ

全く、どうでもいい

 

 

そんな、どうでもよくなった話をここに残す。ここは、私の掃き溜め場だから。

 

 

萌ちゃん(ゴメン、名前出して。でもお世話になったって話やから許して)に、

長く話を聞いてもらえる機会があって、その時にいつもみたいにダラダラ先輩のことを

口からこぼしていた。話すというより、心の中で居場所を失った感情が

言語化されてこぼれる。汚い。

 

萌ちゃんはきっと聞きたくもない内容なのにいつも隣にいてくれた。大好き。

でもその日は、私の人の話をちゃんと聞く際に開いていないといけない扉が

多分全開だった。もしくは全壊。扉自体がなかったのかもしれない。

萌ちゃんのまっすぐな意見が、何の阻止もなく私の中に入ってきていた。

 

その頃、私はいつも泣いていて、その時も萌ちゃんの隣で泣いた。

でもいつもよりもものすごく泣いた。 ニキビの膿を出し切るみたいに、今まで泣けなかったり叫べなかったり死ねなかった私が全て涙になって、もう泣かなくていいくらいにたくさん泣いた。

 

それで家に帰って眠って、朝起きたら

 

先輩は消えていた。

 

 

私の恋情、劣情、非情、苦しみ、憎しみ、匂い、感触、それらを混ぜて固めた先輩と言うあなたが、弾けて飛び散って消えた。

 

部屋には、飾ってある桔梗の花弁が、落ちていた。

 

私はそれを拾って、食べようとしたけれどやめて、タバコの火で燃やした。

 

 

さようなら、心を病むことにハマっていた私。

 

 

そう思った。

 

 

私は愉しんでいたのだ。この延々と終わらない悲しみを大切にしてしまっていた。

こんなにいろんな人に手を出しているくせに、男の人の愛し方がわからないのだ。

性的な面で愛することが、恋になってしまう。

何となく終わらせられなくて、憎しみと恋情が同居してしまっていた。

 

最終的に先輩ではなく私の恋ではなく私の悲しみを大切にしてしまっていた。

 

 

でもそんな悲しみはあの日に萌ちゃんの隣で全て出て行って、必然的に先輩も消えた。

 

その日から、私の生活から先輩は消えて、毎日ちゃんと起きている。

意識もある。

 

 

毎日意識があって、覚えている。